■管理費等の消滅時効は5年

平成10年に平成4年以降の管理費や特別修繕費を滞納していたマンションを購入した者に対して、管理組合が平成12年に裁判上の請求手続をとった事例において、通常の管理費だけではなく特別修繕も民法169条所定の債権として5年間の短期消滅時効により消滅するとして、適用を否定した東京高裁の判断を破棄自判して管理組合に逆転敗訴を言い渡した。なお以下の福田博裁判官の補足意見が付されている。

マンション等の区分所有建物においては、経常的な経費を賄うために徴収される通常の管理費とは別に、共用部分の経年劣化等に対処するための修繕費用は必ず必要となる。そのために要する費用は往々にして多額に上ることから、これを修繕を行う際に一度に徴収することは実際的とはいい難い。管理組合が長期的な収支見通しの下で計画的な積立てを行ってこれに備えるのが修繕積立金と呼ばれるものであり、将来への備えとして、このような対応が必要となる。修繕積立金は、区分所有建物の資産価値を維持保全するためのものであり、区分所有関係を維持していくために必要不可欠である。このような修繕積立金の性質からすると、「短期消滅時効の適用により、不誠実な一部の滞納者がその納付義務を容易に免れる結果とならないようにするための適切な方策が、立法措置を含め十分に検討されるべき」である。

最高裁判所判決   平成16年4月23日

2015年2月1日 | カテゴリー :