管理会社との交渉

●収支状況と組合員の希望をよく分析して

契約の見直しというと、今のままの業務内容で、管理会社に「とにかくできる限り安くしろ」といってしまうのが一番簡単と思いがちですが、組合員が何を一番望んでいるかを把握しておかないと、何のための見直しかわからなくなります。

たとえば、修繕積立金が不足し大幅な値上げが必要で、そのためには、組合員の合意形成のために、まず管理費の減額が必要という場合もあるでしょう。むしろ、管理費の額はこのままでもいいが、内容を合理的に見直し、より管理の質を充実させてほしいという場合もあります。

この例のマンションの収支状況を確認すると、管理費会計は、前期70万ほど余剰金が出ています。今期予算も予備費40万を計上していて、余裕はあります。修繕積立金は、今後アップが必要になります。アンケートでは、参考のために、賛同できる値上げ額の上限を聞きましたが、増額限度は2,000円~3,000円が全体の73%でした。現在の修繕積立金の戸当たり平均が7,000円ですから、30%アップで9,100円、管理費減額を前提にしなくとも、なぜ必要かが理解してもらえれば合意形成ができそうです。

 

方針を決めてから管理会社と交渉を

さて、管理会社との交渉はどうしたらよいでしょう。まず、見直しの方向性を決め、「こんな管理を望む」という大方針を示した上で、具体的な条件を提示し、削れるところは削り、単純減額できるところは最大限努力してもらい、どのような提案ができるか、管理会社に示してもらいましょう。委託業務費に限定せず、管理費会計全体の支出の見直し方針を示すのがポイントです。

理事会では、管理会社との交渉に先立ち、アンケート結果を踏まえ次のような方針を決めました。

  1. 地震保険加入の検討をする。管理費の値上げなしで加入できることを目指す。

  2. 管理員の勤務曜日については、要望が多いので、下記の2つプランを出してもらい総合的に検討する。

    管理員の休日を、現在の土・日から水・日に変更し、土曜日を勤務日とする。

    管理員を2人交代制にし、現在の平日に土日も勤務日に加える。2人勤務の日ももうけ
       その日に、できるだけ立ち会いが必要な業務を組むようにして、管理事務室での受付業務
       を充実させる。

  3. 清掃業務はできるだけ充実させる方向で、アンケートで希望があった②の業務を追加するするといくらになるか、各々の個別金額がわかるように示してもらう。

  4. マンション管理士等の専門家に必要に応じて相談できる予算を管理費会計に確保する。

  5. 設備点検業務は、法定点検等必ず必要なものと選択できるものに分けて、できるだけ費用を削減するプランを管理会社に出してもらう。

  6. 全体としてどこまで減額できるかを現管理会社に示してもらって上で、他の管理会社からも見積をとって比較する。

管理組合がきちんとした方針を示す事によって管理会社は真剣に対応するようになります。

 

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