現在の管理業務委託契約書の見直し

組合員は契約内容をよく知らない

一般の組合員は、どこまでが管理会社に契約で委託している業務かがよくわからないのが普通です。組合員から出された意見を、まず下記に分類してみます。.

1.現契約の中で、改善を求める点

2.現契約の中での要望

3.契約内容の見直しが必要なこと

4.管理組合として取り組むべきこと

たとえば「①の管理員の休日」や、「②の機械洗浄の回数」は、管理委託契約で決まっていることです。したがって、これを変えることは、まさに「3.契約内容の見直しが必要なこと」です。
「③のタイマー調整不足」や「④の誤報対応」は、「1.改善を求めるべき点」です。
「③の在宅点検の曜日」は、「2.要望」になるでしょう。
また、「⑥の地震対策、④総会広報」は管理委託契約の問題ではなく基本的には「4.管理組合として取り組むべきこと」になります。

 

管理員業務は見直しのポイントになる

「①の管理員がどのくらい管理事務室の窓口にいるか」という問題は、管理員の業務の中のバランスの問題です。
受付業務は管理員の重要な業務の1つですが、管理員には、日常清掃や巡回、設備点検の立ち会い等、管理事務室にいてはできない業務もたくさんあります。逆に、管理員がいつも管理事務室にいてマンション内の巡回や清掃がおろそかになっているという不満が出ることもあります。
管理員の業務の内容と時間配分や1日のスケジュールをよく確認し、業務のバランスをとりながら、居住者が不便を感じなくてすむような工夫が必要になります。たとえば、管理事務室を空けるときは、行き先と戻り時間を必ず表示するのも簡単にできる工夫のひとつの方法です。
そのきめ細かさは、管理会杜の顧客対応として重要なポイントです。また、管理員の受付業務を充実させるために、その分費用はかかっても、日常清掃のために新たに清掃員を入れるということも考えられます。

土日が休みで不便という声については、休みの曜日を変更する方法と、管理員を2人交代制として土日も管理員をおく方法があります。しかし、管理員の増員は、かなりの委託業務費の増加につながりますし、勤務日を変更して平日に管理員がいないと困るという人もいますから、合意形成は慎重に行う必要があります。

 

清掃業務の見なおしは大事な視点

また、「②の照明器具の中の清掃」は、管理委託契約内かどうかでよくもめるところです。
標準管理委託契約書によると、照明器具は表面のちり払いまでが契約内となっています。照明器具のカバーの中まで清掃するのは、高所作業を伴うこともあり、委託契約とは別になっている場合も多いようです。
しかし、委託契約外で別に費用が発生するにせよ、管理組合にいわれるまで管理会杜が提案もせずに放置しているという姿勢はよくありません。管理会社のきめ細かさの見所でもあります。今後は、照明器具の中を定期的に清掃することも考え管理委託契約の中身を見直してもらいましょう。
②は「共用廊下側の面格子の高圧洗浄」を管理組合でやってほしいという内容です。面格子は専用使用部分として日常の清掃は各区分所有者が行うことになっていると思います。しかし、共用廊下の清掃時に併せて高圧洗浄機で清掃すると、短時間でたいへんきれいになります。マンション全体の美観にもプラスですから、組合員の要望が多いようなら管理会社に定期的に依頼することを検討するのも意味があることです。

 

管理会社を組合員はどう感じているか

組合員が今の管理会社にどのような印象を持っているかは、とても重要なことです。
今回のアンケートでは、管理員の評判も概ね良好で、管理会社に対する大きな不満はありませんでした。もし、ここで、管理委託契約内の業務にいろいろ大きな不満が出るようでしたら、見直し云々の前に、きちんと業務を行うように申し出ることから始まります。しかし、組合員の不満は、時として個人的な頼み事と管理委託業務の区別がつかないための誤解に基づいているような場合もあります。定期的に組合員の不満や意見を吸い上げて整理し、管理会社へ申し入れるべきことは申し入れ、誤解は解き、内容に関する意見があれば必要に応じて契約内容を見直しも行っていくようにするのが望ましいでしよう。

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