組合員の合意形成

現管理会社には再度価格交渉も

この例えのマンションの場合、見直しのポイントは下記の3点に整理されます。

 ①地震保険加入の是非

 ②管理員増員に関する是非

 ③管理会社変更に関する是非

また、現管理会社を変更するかどうかの判断のポイントは「委託業務費がどこまで減額できるか」ですから、現管理会社と価格の再交渉をした上で、後は、広く組合員の話し合いに委ねるのがよいでしょう。

こういった問題では、人によって意見が異なるのは当然です。したがって、異なった意見を聞き、考える、歩みよる、というような過程がどうしても必要になります。くれぐれも、直接多数決で決着というようなことは避けてください。

現管理会社からは、さらに3%減額の再回答がありました。

見積等文書による準備が完了したら、管理会社3社のプレゼンテーションを行います。


もう一度経過を振り返って説明を

1年近く取り組んできた課題ですから、理事は経過がよくわかっています。その都度広報していたので、一般の組合員もわかっているかというと、そうはいきません。断片的に記憶にあっても、流れをきちんと把握している人はごく少数です。

したがって、見直しの原点から、管理委託の状況、収支状況、検討の過程、アンケートの結果、そして、アンケートの意見をどう反映させたか等をきちんと説明するところから始めます。


管理組合の管理状況を整理すると

この例えのマンションでは通常総会で、管理委託契約の内容や価格を多面的に見直すべきという意見が出て、今期の理事会の課題となりました。


管理委託業務以外の課題を整理すると

管理費会計の予算で一番の比重を占めるのは、「管理委託業務費」ですが、それ以外にも、管理費会計から支出する費用はいろいろあります。このマンションでは、来期より下記の予算化を検討しています。

地震保険料

専門家への委託費(必要に応じて相談できる費用)

地震保険は未加入です。福岡県西方沖地震の直後だったこともあり、アンケートでも地震を心配する声があったことから、加入を検討しました。

また、今回の鉄部塗装工事ではTマンション管理士のアドバイスがとても力になりました。輪番制で役員を選出するので、誰が役員になっても専門家に相談したい場面はあるでしょうから、その予算をとっておくべきということになりました。

管理費を値上げせずに、これらの予算を確保するためにも「管理委託業務」にかかる費用を見直す必要がありました。

 

管理委託契約の内容に関する課題

管理委託契約の内容は、アンケートの意見を踏まえ、サービスの向上を目指し、下記の方向で見直すことにしました。

また、設備点検の合理的見直しも視野に入れて、全体の減額提案を管理会社に求めることになりました。

 

管理会社の提案は

(A)の管理員1人勤務の場合、現管理会社からは、仕様をアップして13%減、それと同仕様で、K社18%減、L社14%減の見積が出ています。

どの管理会社でも、管理費会計の中から、地震保険料、専門家委託費を捻出することが可能です。しかし、(B)の管理員2人勤務とすると、K社以外では、両方確保が難しくなります。

意見交換会(勉強会)では、ポイントをしっかり説明してから始めないと、とかく議論が拡大しがちです。有意義な意見交換ができるよう、理事の方にしっかり進行をしていただければと思います。

このケースでは、意見交換会(勉強会)で意見を聞きたいポイントは、「地震保険」「管理員増員」「管理会社変更」。この3点にプラスして、「清掃仕様のアップ」と「専門家への委託費」となります。

当日、3社のプレゼンテーションで、どのようなアピールがあり、組合員がどう感じるか…そこは未知数の部分です。決議をする総会ではないので、そういう不確定な部分も合めて、自由な意見を出し合えるというのが意見交換会(勉強会)の最大のメリットです。

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